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地元の高校生と開発した商品が、プロのバイヤーから高評価。
学生にも貴重な経験に
<from buyer’s one>

  • 投稿日 : 2022/12/16
  • |
  • 最終更新日 : 2023/12/14

商品開発・改良支援の取り組み<buyer’s one>は
バイヤーと共にマーケットの需要を踏まえた商品作りに取り組める貴重なサービス。
売れる商品づくりの実現に向け、第一線で活躍する現役バイヤーが商品開発・改良から販路開拓までサポートします。
ブログでは、buyer’s oneに参加し商品開発や改良に取り組んだ事業者の声を、シリーズでお届け。
第4回は『㈱平松食品×スズキヤ トマトソースにおぼれたまぐろ~パスタソースに仕上げました~』です。
buyer’s one/buyer’s roomについては https://buyers-room.com/ をチェック

地元の水産高校の生徒が釣り上げたマグロを柔らかく炊いて佃煮に仕立て、相性抜群のトマトソースを絡めた「トマトソースにおぼれたマグロ」。
一般的なトマトソースに比べて具が贅沢に入っており、パスタのほかにも様々な料理に使える万能ソースだ。
開発を進めてきた平松食品は、愛知・豊橋で創業100周年を迎える老舗の佃煮メーカー。
地元の高校の生徒と一緒に開発した商品を「buyer’s one」に出品するに至った思いを、専務取締役の平松さんに伺った。

    CONTENTS

  • ① ユニークなネーミングと、佃煮の新しい発想で、審査員特別賞を受賞
  • ② 商品開発に携わった卒業生の思いを引き継ぎ、より厳しい「プロの目線」での商品改良を目指す
  • ③ パッケージデザインでは、「消費者にわかりやすく伝える」ことを徹底。
  • ④ 高校生との取り組みが継続し、この商品を活用したお惣菜を地元スーパーで販売予定

ユニークなネーミングと、佃煮の新しい発想で、審査員特別賞を受賞

――「トマトソースにおぼれたマグロ」は、個性的なネーミングと味づくりで多くのバイヤーの目に止まり、「buyer’s room2021」では審査員特別賞を受賞しました

(㈱平松食品 専務取締役 平松大地さん)
「トマトソースにおぼれたマグロ」は、2020年からテスト販売をしていましたが、2021年に実施された「buyer’s one」での取り組みをきっかけにリニューアルして販売することに。

新たな販路として、商品改良の支援をいただいたスズキヤさんの店頭、弊社の直営店、地元のスーパーやお土産店で販売することとなり、計2000本以上を販売することができました。

また「buyer’s room」で受賞したことで、地元の新聞社などメディアの方々にも商品を紹介しやすくなり、改めて弊社に注目していただくきっかけになりました。

商品開発に携わった卒業生の思いを引き継ぎ、より厳しい「プロの目線」での商品改良を目指す

――思いのこもった商品を、なぜbuyer’s oneに出品しようと決意されたのですか

(平松さん)
弊社では10年ほど前から、地元の高校の生徒さんと一緒に商品開発に取り組んでいます。

「トマトソースにおぼれたマグロ」は、2020年から豊橋商業高校の3年生と一緒に作り上げてきましたが、新型コロナウイルスの影響もあって商品開発が十分に出来ないまま、販売はオンラインのみとなり、未完成のまま生徒さんは卒業してしまいました。

2021年、その先輩たちの想いを引継いだ3年生と一緒に商品化を目指してきましたが、せっかくやるならプロのバイヤーさんなど外部の評価をいただけたほうが生徒さんにも勉強になるかなと思い、エントリーさせていただきました。

――出品した商品の反応はいかがでしたか

(平松さん)
佃煮を使った新感覚のトマトソースという点と、地元の高校との取り組みという点において、特に評価をいただきました。

原材料には、三谷水産高校の生徒さんが釣り上げたマグロを使用しています。

高校生が釣り上げたマグロはサイズがバラバラで、本来であれば市場価値が出にくいのですが、佃煮の原料として弊社が購入することで適切な価値で運用できます。

そのマグロを、弊社の伝統製法で3日間かけて佃煮として炊き上げ、オリジナルの濃厚なトマトソースに漬け込むことで、佃煮の具材感を活かした新しい味わいと、パスタ以外にも幅広く使える汎用性を実現できました。

パッケージデザインでは、「消費者にわかりやすく伝える」ことを徹底

――具体的には、どのように商品改良を進めていかれたのですか

(平松さん)
商品改良は、㈱スズキヤの磯崎さんにご担当いただくこととなり、容量や売価の調整と、パッケージデザインの変更を主に進めました。

パッケージには、高校生が描いてくれたイラストを使うことは決めていたのですが、「実際に、売り場で色々な商品を見たほうがいい」という助言を受けて、生徒さんたちがスーパーなどに足を運んでくれました。

他社の商品がどんなパッケージなのかを改めて確認でき、いい経験になったと思います。

さらに、磯崎さんの提案で、サブタイトルに「パスタソース」と入れることになりました。

私自身は、イラストのみで充分商品の魅力が伝わると考えていたのですが、それは私が商品を作った側の人間で、何に使う商品なのかがわかっていたからだったんですね。

何も知らないお客さんの立場に立って、商品を一目見て、どんなふうに使うのかがわかるように伝えることが、商品開発では大事なのだと気づきました。

――改良を進める中で、新しい気づきや学びはありましたか

(平松さん)
原材料のマグロ自体が高価なので販売価格をどうするか悩んでいたのですが、価格と量のバランスをとるために最終的には濃縮トマトソースを使い、2~3人分の容量で販売することになりました。

ひとつ想定外だったのは、おいしさを重視して冷蔵商品で製造したことが、幅広い売り場に展開するうえではネックとなってしまったこと。

開発段階で常温での販売も検討しましたが、味の安定性と安全性の面から冷蔵販売という方法を選んだ結果なので、仕方がないことですが、今後も商品開発を進めていくうえでいい勉強になりました。

高校生との取り組みが継続し、今度はパスタとして、地元スーパーでの販売を予定

――取り組みの中で得た成果を、今後どのように活かしていきたいですか

(平松さん)
「トマトソースにおぼれたマグロ」は、現在も豊橋商業高校の生徒さんとの取り組みが続いています。

今度は、このソースを使ってパスタを作り、地元のスーパーで惣菜として販売するという新たな販売計画を立てています。

地元の高校との協働は、私たちにとってもモチベーションのひとつとなっているので、今後も継続していく予定です。

また今回の出品で、自分たちが伝えたい「佃煮」のこだわりや魅力を商品にしっかりとのせて伝えることの難しさを痛感しました。

プロのバイヤーさんから得た貴重なご意見をもとに商品の見直しを進め、伝統はしっかりと守りつつ、佃煮離れが進む若い世代にも食べてもらえるような新商品の開発や、PRに力を入れていきたいです。

【プロフィール】株式会社平松食品 専務取締役 平松大地さん

大正12(1922)年創業、愛知・豊橋で日本の伝統食品「つくだ煮」を製造する老舗食品メーカー、㈱平松食品の4代目。
大学卒業後、同じ愛知県内の惣菜メーカーである岩田食品㈱に3年間勤務し、商品開発や生産管理に携わる。2016年より家業に戻り、現在は商品開発、生産計画などを手掛けている。
「魚煮籠」と呼ばれる竹籠で仕込む伝統的なつくだ煮作りの技を継承するとともに、時代に合わせた味づくりや商品開発、衛生的な生産システムの構築などにも力を入れている。

㈱平松食品 https://www.bisyoku.com/

聞き手・文:フードライター 笹木 理恵

飲食業界の専門誌の編集を経て、2007年にフードライターとして独立。
飲食業界誌・料理専門誌を中心に、雑誌・WEB等で執筆。
CANVAS 広報・メディア部門 パートナー。

笹木理恵 https://news.yahoo.co.jp/byline/sasakirie

商品開発・改良支援の取り組み<buyer’s one>は
バイヤーと共にマーケットの需要を踏まえた商品作りに取り組める貴重なサービス。
売れる商品づくりの実現に向け、第一線で活躍する現役バイヤーが商品開発・改良から販路開拓までサポートします。
ブログでは、buyer’s oneに参加し商品開発や改良に取り組んだ事業者の声を、シリーズでお届け。
第4回は『㈱平松食品×スズキヤ トマトソースにおぼれたまぐろ~パスタソースに仕上げました~』です。
buyer’s one/buyer’s roomについては https://buyers-room.com/ をチェック

地元の水産高校の生徒が釣り上げたマグロを柔らかく炊いて佃煮に仕立て、相性抜群のトマトソースを絡めた「トマトソースにおぼれたマグロ」。
一般的なトマトソースに比べて具が贅沢に入っており、パスタのほかにも様々な料理に使える万能ソースだ。
開発を進めてきた平松食品は、愛知・豊橋で創業100周年を迎える老舗の佃煮メーカー。
地元の高校の生徒と一緒に開発した商品を「buyer’s one」に出品するに至った思いを、専務取締役の平松さんに伺った。

    CONTENTS

  • ① ユニークなネーミングと、佃煮の新しい発想で、審査員特別賞を受賞
  • ② 商品開発に携わった卒業生の思いを引き継ぎ、より厳しい「プロの目線」での商品改良を目指す
  • ③ パッケージデザインでは、「消費者にわかりやすく伝える」ことを徹底。
  • ④ 高校生との取り組みが継続し、この商品を活用したお惣菜を地元スーパーで販売予定

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