審査会型ビジネスマッチングイベント＜buyer’s room＞は
賞の授与による商品の付加価値向上と、バイヤーと食品メーカーのビジネスマッチングサービス。
ブログでは、buyer’s roomに参加した事業者の声を、シリーズでお届け。
今回は、『有限会社 望仙×スズキヤ、JALUX　贅沢桜えびかき揚げ』です。
buyer’s roomについては https://buyers-room.com/ をチェック

「buyer’s room」の初年度となる2020年にエントリーし、審査員特別賞を受賞した有限会社望仙の「贅沢桜えびかき揚げ」。神奈川・湘南エリアに展開するスーパー「スズキヤ」での販売と、JALUXのカタログへの掲載が決定し、初年度だけで500万円の売上を実現した。以降、ふるさと納税やECサイト、百貨店などに販路を拡大し、売上げは5年間で4倍以上に伸長している。明治時代から続く家業を継承し、現在は主に通販事業を担う望月俊孝さんに、エントリーからこれまでのストーリーを取材した。

 

• CONTENTS
  • ①「buyer’s room」初年度で2社とマッチングし、500万円の売上に
  • ②ギフト色を強めて高級感を打ち出し、オンラインショップや卸の売上を伸ばす
  • ③専門家との出会いや大型展示会への参加から、新たな販路を開拓
  • ④手づくりのおいしさを守りながら、未来の担い手を模索中

①「buyer’s room」初年度でマッチングが成功し、500万円の売上に

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――「buyer’s room」で審査員特別賞を受賞したのが2020年10月末。同年12月にはスズキヤでの販売が実現し、翌春にはJALUXのカタログで表紙に掲載され、約500万円の売上に繋がりました

 

年末にスズキヤさんの店頭で200パック以上を販売してもらい、弊社の「しらすのかき揚げ」と合わせて850パックが完売しました。現在も、葉山店では通年販売いただいているほか、春の静岡フェアと年末の特売の年2回、継続してお取引していただいています。

またJALUXさんとも受賞後すぐに話が進み、年明けの春号のカタログへの掲載が決定しました。表紙に採用していただいたこともあり、目標の200セットを大幅に上回る300セットの注文をいただき、想像以上に反響も大きかったです。その後もカタログが休止するまでの2年、商品を扱っていただきました。受賞後、「贅沢桜えびかき揚げ」の売れ行きも上昇し、最大で年間2万食を売る看板商品になりました。

 

②ギフト色を強めて高級感を打ち出し、オンラインショップや卸の売上を伸ばす

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――「buyer’s room」の参加以降も、「贅沢桜えびかき揚げ」は順調に売上を伸ばしています。どのように販売促進に取り組んでいかれたのですか

 

桜えびは、昔は地元では身近な食べ物でしたが、近年は不況もあって価格が高騰し、刺身は100g800円と和牛にも匹敵する高級食材となっています。加えて駿河湾でしか水揚げされないという希少性もあり、独自性や高級感を打ち出しやすい商材であることからギフト市場を狙えると考えました。「buyer’s room」への参加をきっかけに包材のデザインを見直し高級感のあるパッケージに変更していたことも功を奏し、2021年度からふるさと納税に採用されるほか、通販でもギフト品として購入いただけることが増えていきました。

スズキヤさんやJALUXさんとの取引で露出も増えたためか、それまでは1～2軒だった近隣への卸も、5～6軒に増えました。

 

③専門家との出会いや大型展示会への参加から、新たな販路を開拓

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――様々な取り組みの中で、とくに成長を促すきっかけとなった出来事はありますか

 

大きな転機の一つだったと感じているのが、2022年、商品のPRや販路開拓を目的に、冷凍食品業界に詳しい専門家の方々にSNSを通じてアプローチをしたことです。「ぜひうちの商品を試してほしい」と連絡をしてみたところ、そこでお返事をくださった専門家の方が桜えびのかき揚げを気に入ってくださり、メディアでも何度か取り上げていただくようになりました。同年、首都圏を中心に展開する飲食企業さんとのご縁をいただき、おにぎりの具材として桜えびのかき揚げをばらしたバラ揚げを開発。毎年、春のメニューに採用いただくようになり4年目を迎えました。

 

――2023年以降は、通販も順調に推移していらっしゃいますね

通販事業は、私が家業を手伝うようになってからとくに力を入れてきた領域です。前職のアパレルでのマーケティング経験を活かし、魅力的な商品の見せ方や、お客様への訴求の仕方などを工夫してきました。そうした中で、「buyer’s room」への参加以降、通販がさらに伸長した要因は、2023年に参加した大型展示会の影響が大きかったかもしれません。地元の商工会がエントリーをしてくれて、静岡の企業数社が出展する中に弊社も参加させていただいた展示会で食文化さんとの商談が決まり、お取り寄せサイト「うまいもんドットコム」での販売が実現しました。また翌年には、冷凍食品専門家の方とのコラボレーションで冷凍食品の展示会にも2回出展し、より多くの方に商品を知っていただくきっかけになりました。地方の百貨店でも桜えびのかき揚げを扱っていただくようになったのもこの年からで、新たな販路開拓を実現できました。

④手づくりのおいしさを守りながら、未来の担い手を模索中

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――今後の展望をお聞かせください

 

コンクールや展示会は、参加して終わりではなく、その後もさらに商品価値を高めていくことがとても大事だと考えています。

弊社の商品価値が上がることで、取引先の企業様も「いい商品を取り扱っている」という消費者からのイメージアップに繋がります。「buyer’s room」への参加をきっかけに、これまで以上にいい商品をお届けしたいという思いが強くなりました。また今年は、「第1回　日本全国！ご当地冷凍食品大賞」にもエントリーして桜えびのかき揚げがグランプリを受賞することができたためメディアへの露出も増え、とくに通販領域で大きな売上アップを見込んでいます。今後も安定して製造していくためにはOEMや機械化など次のステップも必要だと感じており、先日、厨房機器の展示会に参加したのですが、改めてこのかき揚げは手づくりでないと製造が難しいと実感する結果になりました。

強みである手づくりのおいしさを守りながら、ともに未来を担ってくれる人材や企業とのマッチングを模索していきたいです。

 

【プロフィール】有限会社 望仙　（事業戦略統括マネージャー）　望月俊孝さん

静岡・由比で明治時代より魚問屋を営み、先代の望月仙吉は桜えびの名づけ親ともいわれる。現社長の由喜男氏が2003年に有限会社望仙を設立し、由比で初めての桜えびの直売所を立ち上げるほか、桜えびを使った加工品の製造・販売も行う。俊孝さんは都内アパレル企業にて、ディストリビューターとして店舗・通販の在庫コントロールを担当、ブランド運営の一員として販売戦略も学ぶ。2018年に帰郷し、前職での経験を活かしながら父や兄とともに家業を盛り立てている。

聞き手・文：フードライター　笹木 理恵

飲食業界の専門誌の編集を経て、2007年にフードライターとして独立。
飲食業界誌・料理専門誌を中心に、雑誌・WEB等で執筆。
CANVAS　広報・メディア部門　パートナー。

笹木理恵 https://news.yahoo.co.jp/users/expert/sasakirie