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銀座の居酒屋が、コロナ禍で物販に初挑戦。
バイヤーの支援を得て、オリジナル調味料を開発
<from buyer’s one>

  • 投稿日 : 2022/10/21
  • |
  • 最終更新日 : 2022/10/27

商品開発・改良支援の取り組み<buyer’s one>は
バイヤーと共にマーケットの需要を踏まえた商品作りに取り組める貴重なサービス。
売れる商品づくりの実現に向け、第一線で活躍する現役バイヤーが商品開発・改良から販路開拓までサポートします。
ブログでは、buyer’s oneに参加し商品開発や改良に取り組んだ事業者の声を、シリーズでお届け。
第1回は『麦酒屋るぷりん×信濃屋 CRAFT発酵オイル』です。
buyer’s one/buyer’s roomについては https://buyers-room.com/ をチェック

クラフトビールや日本ワインなど、国産にこだわった酒の品揃えと、天然氷のかき氷が評判の「麦酒屋るぷりん」。
コロナをきっかけに物販に初挑戦し、オリジナル調味料として開発した「へしこのバーニャカウダソース」が信濃屋のバイヤー岩崎さんの目に止まり、商品改良が実現。「CRAFT発酵オイル」として売り場に並ぶこととなった。

初めてづくしとなった取り組みを、店主の西塚さんは「とにかく濃い日々で、得るものもとても大きかった」と振り返ります。

商品改良支援を受け、「信濃屋」店頭で約1600個を販売

――「buyer’s one」での商品改良を経て、信濃屋では1000個以上の売上実績となりましたね

(麦酒屋るぷりん 店主 西塚晃久さん)
出品したのは「へしこのバーニャカウダソース」という商品でしたが、「buyer’s one」での改良を経て、商品名も新たに「CRAFT発酵オイル」として信濃屋さんでの販売が実現しました。

信濃屋さんは、僕が独立する前から買い物などでお世話になっているお店なので、選んでいただけて光栄でしたし嬉しかったです。銀座のバーテンダーもみんな信濃屋さんを知っているので、羨ましがられましたね(笑)。

さらに、「buyer’s room」2021年11月の部で特別審査員賞に選ばれたことで、様々な企業からお声がけもいただき、最終的には弊社分だけで約600個(プラス、信濃屋製造分で約1000個)を製造しました。

物販自体が初めての取り組みだったので、得るものは本当に大きかったです。

――「buyer’s one」にエントリーしたきっかけは何だったのでしょうか

(西塚さん)
コロナ禍でお店に来られないお客様に、自宅でもるぷりんの味を楽しんでいただけるようにとオリジナル調味料「るぷりんの素」を開発し、通販サイトで販売していました。

常連さんには好評でしたが、続けていくためにはきちんと利益を出していかなければと感じ、販路拡大を目的にエントリーさせていただきました。

「るぷりんの素」は、以前からテイクアウトの要望があった「いちじくバター」や、お店の人気メニュー「黒酢酢豚」のソースなど数種類ありますが、うちの店らしいものとして選んだのが、北陸の珍味である「へしこ」を使ったバーニャカウダソース。

福井県小浜の老舗鮮魚店から仕入れている思い入れのある食材で、へしこそのものの魅力をもっと多くの人に知ってもらいたいという思いもありました。

――「buyer’s one」に出品した際の反応はいかがでしたか?

(西塚さん)
へしこは攻めてる素材で、しかも酒飲み仕様の商品なので、お酒を飲まない人が食べても好んでくれるのか不安でした。

できるだけ食べやすいように作ったつもりでしたが、信濃屋の岩崎さんからも最初は「クセが強い」と言われました。

ただ、岩崎さんの中ではすでに売れる商品のイメージがあったようで、「食べるラー油のように、具材感のあるソースにしてはどうか」という提案があり、そのまま食べられて、調味料としても使える商品に改良することになりました。

木桶仕込みの調味料や素材を使い「食べる調味料」にリニューアル

――具体的には、どのように商品改良を進めていかれたのですか

(西塚さん)
岩崎さんがまず代田橋のお店に連れて行ってくれ、どんな思いで商品を選んでいるかを説明してくれました。

信濃屋さんはオーガニックの調味料や、日本の発酵調味料に力を入れていて、僕も気になる調味料を持ち帰って試作させてもらうことに。その結果、昔ながらの木桶で仕込んでいる醤油や味噌、沢庵などを使うことになり、埼玉の弓削田醤油さんまで醤油蔵の見学にも訪れました。

それまでも店で色々な調味料を使っていましたが、それらがどう作られているかまでは知らなかったので、とても勉強になりました。

――商品開発で、とくに印象に残っているのはどんなことですか

(西塚さん)
岩崎さんは「コンセプトに迷ったら先にネーミングを決める」という考え方で、「CRAFT発酵オイル」という商品名は先に決まっていました。

飲食店は、料理が出来上がってからメニュー名を考えるので、逆の発想が新鮮でした。

自分の思いとしては、「へしこ」という言葉を入れたかったのですが、スーパーで売るためには「へしこ」と謳ってしまうと、お客さんはどんな味かわからなくて買ってくれないそうです。

「まずは食べて知ってもらうことが第一。そのあとでラベルを見て、実は旨味の素がへしこだったんだな、くらいの位置づけでいいんだよ」と岩崎さんに言われて、なるほどと納得しました。

1つの商品を選んでもらう意味は、飲食店よりもずっと重い

――「buyer’s one」での取り組みを振り返って、いま思うことは?

(西塚さん)
岩﨑さんと実際にお会いしたのは4回くらいでしたが、とにかく濃い日々でした。

一緒に醤油蔵に見学に行く道すがら、「売れるものとはなんなのか」ということを熱く語ってくださったのがとくに記憶に残っています。

僕ら作り手は、どうしても味にこだわりがちですが、小売店では中身だけこだわるのではなくて、商品の全体像を考えることが大事なんだそうです。

飲食店では、目の前のお客様に直接説明できるけど、小売店では説明なしにお客さんに買ってもらわなければならない。1個を選んでもらう重みが全然違うというのは、飲食店をやっているだけでは気づけないことでした。

また今回は、OEMで製造してもらった商品を自分たちで買い取り、それを信濃屋さんに卸す、という座組みだったので、利益を出すには相当売らないとだめなんだなということもわかりました。

受発注のやり取りも初めてで、こちらはお店を営業しながらだったのですぐに返信できないこともあって…。スピード感の違いなども、非常に勉強になりました。

小売の難しさを体験し、自分たちのやりたいことがより明確に

――「buyer’s one」での成果を、今後どのように活かしていきたいですか

(西塚さん)
コロナ禍で誰もが先行き不安な中で、「CRAFT発酵オイル」は、うちの店ならではのもがき方だったのかなという気がします。

最後まですごくポジティブに向きあえたので後悔は一つもないし、挑戦して本当によかった。コストも時間もかかりましたが、普通ではできない経験をたくさんさせてもらえました。

「buyer’s one」で得た気づきをもとに、現在はお店の営業に集中しながら、自分たちのやりたいことを詰めた商品をオンラインで展開しています。

僕たちがお店をやる一番の理由は、お客様の喜ぶ顔が見たいというのは当然として、自分たちがやりたいことを実現できる場所だから。

それが自分の中で明確になったのも、「buyer’s one」での経験があったからだと思います。

【プロフィール】麦酒屋るぷりん 店主 西塚晃久さん

イタリアンやベルギービール専門店、バーなどで経験を積み、2012年6月、東京・銀座の雑居ビル3階に、国産クラフトビールと天然氷のかき氷を看板に据えた「麦酒屋るぷりん」を開業。
「国産」をキーワードにした酒の品揃えと、ブーム最中のかき氷が注目を浴び、行列のできる人気店となる。
2020年7月には、同ビル2階に国産素材の炭火焼をコンセプトにした「炭火屋るぷりん」をオープン。

麦酒屋るぷりん https://lupulin-ginza.com/beer/

聞き手・文:フードライター 笹木 理恵

飲食業界の専門誌の編集を経て、2007年にフードライターとして独立。
飲食業界誌・料理専門誌を中心に、雑誌・WEB等で執筆。
CANVAS 広報・メディア部門 パートナー。

笹木理恵 https://news.yahoo.co.jp/byline/sasakirie

商品開発・改良支援の取り組み<buyer’s one>は
バイヤーと共にマーケットの需要を踏まえた商品作りに取り組める貴重なサービス。
売れる商品づくりの実現に向け、第一線で活躍する現役バイヤーが商品開発・改良から販路開拓までサポートします。
ブログでは、buyer’s oneに参加し商品開発や改良に取り組んだ事業者の声を、シリーズでお届け。
第1回は『麦酒屋るぷりん×信濃屋 CRAFT発酵オイル』です。
buyer’s one/buyer’s roomについては https://buyers-room.com/ をチェック

クラフトビールや日本ワインなど、国産にこだわった酒の品揃えと、天然氷のかき氷が評判の「麦酒屋るぷりん」。
コロナをきっかけに物販に初挑戦し、オリジナル調味料として開発した「へしこのバーニャカウダソース」が信濃屋のバイヤー岩崎さんの目に止まり、商品改良が実現。「CRAFT発酵オイル」として売り場に並ぶこととなった。

初めてづくしとなった取り組みを、店主の西塚さんは「とにかく濃い日々で、得るものもとても大きかった」と振り返ります。

商品改良支援を受け、「信濃屋」店頭で約1600個を販売

――「buyer’s one」での商品改良を経て、信濃屋では1000個以上の売上実績となりましたね

(麦酒屋るぷりん 店主 西塚晃久さん)
出品したのは「へしこのバーニャカウダソース」という商品でしたが、「buyer’s one」での改良を経て、商品名も新たに「CRAFT発酵オイル」として信濃屋さんでの販売が実現しました。

信濃屋さんは、僕が独立する前から買い物などでお世話になっているお店なので、選んでいただけて光栄でしたし嬉しかったです。銀座のバーテンダーもみんな信濃屋さんを知っているので、羨ましがられましたね(笑)。

さらに、「buyer’s room」2021年11月の部で特別審査員賞に選ばれたことで、様々な企業からお声がけもいただき、最終的には弊社分だけで約600個(プラス、信濃屋製造分で約1000個)を製造しました。

物販自体が初めての取り組みだったので、得るものは本当に大きかったです。

――「buyer’s one」にエントリーしたきっかけは何だったのでしょうか

(西塚さん)
コロナ禍でお店に来られないお客様に、自宅でもるぷりんの味を楽しんでいただけるようにとオリジナル調味料「るぷりんの素」を開発し、通販サイトで販売していました。

常連さんには好評でしたが、続けていくためにはきちんと利益を出していかなければと感じ、販路拡大を目的にエントリーさせていただきました。

「るぷりんの素」は、以前からテイクアウトの要望があった「いちじくバター」や、お店の人気メニュー「黒酢酢豚」のソースなど数種類ありますが、うちの店らしいものとして選んだのが、北陸の珍味である「へしこ」を使ったバーニャカウダソース。

福井県小浜の老舗鮮魚店から仕入れている思い入れのある食材で、へしこそのものの魅力をもっと多くの人に知ってもらいたいという思いもありました。

――「buyer’s one」に出品した際の反応はいかがでしたか?

(西塚さん)
へしこは攻めてる素材で、しかも酒飲み仕様の商品なので、お酒を飲まない人が食べても好んでくれるのか不安でした。

できるだけ食べやすいように作ったつもりでしたが、信濃屋の岩崎さんからも最初は「クセが強い」と言われました。

ただ、岩崎さんの中ではすでに売れる商品のイメージがあったようで、「食べるラー油のように、具材感のあるソースにしてはどうか」という提案があり、そのまま食べられて、調味料としても使える商品に改良することになりました。

木桶仕込みの調味料や素材を使い「食べる調味料」にリニューアル

――具体的には、どのように商品改良を進めていかれたのですか

(西塚さん)
岩崎さんがまず代田橋のお店に連れて行ってくれ、どんな思いで商品を選んでいるかを説明してくれました。

信濃屋さんはオーガニックの調味料や、日本の発酵調味料に力を入れていて、僕も気になる調味料を持ち帰って試作させてもらうことに。その結果、昔ながらの木桶で仕込んでいる醤油や味噌、沢庵などを使うことになり、埼玉の弓削田醤油さんまで醤油蔵の見学にも訪れました。

それまでも店で色々な調味料を使っていましたが、それらがどう作られているかまでは知らなかったので、とても勉強になりました。

――商品開発で、とくに印象に残っているのはどんなことですか

(西塚さん)
岩崎さんは「コンセプトに迷ったら先にネーミングを決める」という考え方で、「CRAFT発酵オイル」という商品名は先に決まっていました。

飲食店は、料理が出来上がってからメニュー名を考えるので、逆の発想が新鮮でした。

自分の思いとしては、「へしこ」という言葉を入れたかったのですが、スーパーで売るためには「へしこ」と謳ってしまうと、お客さんはどんな味かわからなくて買ってくれないそうです。

「まずは食べて知ってもらうことが第一。そのあとでラベルを見て、実は旨味の素がへしこだったんだな、くらいの位置づけでいいんだよ」と岩崎さんに言われて、なるほどと納得しました。

1つの商品を選んでもらう意味は、飲食店よりもずっと重い

――「buyer’s one」での取り組みを振り返って、いま思うことは?

(西塚さん)
岩﨑さんと実際にお会いしたのは4回くらいでしたが、とにかく濃い日々でした。

一緒に醤油蔵に見学に行く道すがら、「売れるものとはなんなのか」ということを熱く語ってくださったのがとくに記憶に残っています。

僕ら作り手は、どうしても味にこだわりがちですが、小売店では中身だけこだわるのではなくて、商品の全体像を考えることが大事なんだそうです。

飲食店では、目の前のお客様に直接説明できるけど、小売店では説明なしにお客さんに買ってもらわなければならない。1個を選んでもらう重みが全然違うというのは、飲食店をやっているだけでは気づけないことでした。

また今回は、OEMで製造してもらった商品を自分たちで買い取り、それを信濃屋さんに卸す、という座組みだったので、利益を出すには相当売らないとだめなんだなということもわかりました。

受発注のやり取りも初めてで、こちらはお店を営業しながらだったのですぐに返信できないこともあって…。スピード感の違いなども、非常に勉強になりました。

小売の難しさを体験し、自分たちのやりたいことがより明確に

――「buyer’s one」での成果を、今後どのように活かしていきたいですか

(西塚さん)
コロナ禍で誰もが先行き不安な中で、「CRAFT発酵オイル」は、うちの店ならではのもがき方だったのかなという気がします。

最後まですごくポジティブに向きあえたので後悔は一つもないし、挑戦して本当によかった。コストも時間もかかりましたが、普通ではできない経験をたくさんさせてもらえました。

「buyer’s one」で得た気づきをもとに、現在はお店の営業に集中しながら、自分たちのやりたいことを詰めた商品をオンラインで展開しています。

僕たちがお店をやる一番の理由は、お客様の喜ぶ顔が見たいというのは当然として、自分たちがやりたいことを実現できる場所だから。

それが自分の中で明確になったのも、「buyer’s one」での経験があったからだと思います。

【プロフィール】麦酒屋るぷりん 店主 西塚晃久さん

イタリアンやベルギービール専門店、バーなどで経験を積み、2012年6月、東京・銀座の雑居ビル3階に、国産クラフトビールと天然氷のかき氷を看板に据えた「麦酒屋るぷりん」を開業。
「国産」をキーワードにした酒の品揃えと、ブーム最中のかき氷が注目を浴び、行列のできる人気店となる。
2020年7月には、同ビル2階に国産素材の炭火焼をコンセプトにした「炭火屋るぷりん」をオープン。

麦酒屋るぷりん https://lupulin-ginza.com/beer/

聞き手・文:フードライター 笹木 理恵

飲食業界の専門誌の編集を経て、2007年にフードライターとして独立。
飲食業界誌・料理専門誌を中心に、雑誌・WEB等で執筆。
CANVAS 広報・メディア部門 パートナー。

笹木理恵 https://news.yahoo.co.jp/byline/sasakirie

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